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「大丈夫デスか?一応、これ通過儀礼デスから」
「ルーシーさんにやられました…」
俺は痛む背中をさすりながら、再度差し出されたクレアさんの手を握る。
前の経験から、2回目は無いと、俺は判断した。
「えっ!そうなんデスか!?スイマセン!」
「いや、いいですよ。警戒して無かった俺が悪いんですから」
俺は軽く手を振り、クレアさんを見た。
顔はルーシーさんを5才程若くした感じで、背も低く、体もスラッとしている。
そして、栗色のフワフワした髪を背中まで伸ばしていて、着ている黒いスーツに全く合っていない。
どうせならもっと派手な服着れば良いのに。
なんて思っていると、クレアさんは何故か不思議そうな眼差しで俺を見つめ始めた。
「あの…?」
「あ、ゴメンナサイ。立花新人クン、デスよね?」
クレアさんは俺から急いで離れ、置いてあるデスクから書類を取り出した。
「あ、はい」
「エー、今日は支部長達が皆出ているノデ、私達が手続きをしマス。とりあえず、コレを読んで、サインしてクダサイ」
そう言って、クレアさんは書類の束から、一枚、紙を取り出し、俺に差し出した。
俺はそれを受け取り、フカフカのソファーに沈み込んだ。
えー、何々?我々、ケネディ・ファミリーは…?
「………達?」
私達って言った?クレアさん。
「アラ?アヴェン!出て来ナサイ!」
「もう、居るじゃないか。クレア」
「あ?」
俺は、隣を見た。
何で見たって、さっきまで誰も居なかった筈の俺の隣から、声が聞こえたからだよ。
うん。
で、見て俺は腰を抜かしそうになったね。
だって、居るんだもん。
人が。
「や。新人」
俺の隣にさも当然、とでも言うように座る、アヴェンと呼ばれた男。
俺より少し長い髪をオールバックしていて、クレアさんと同じ黒いスーツを身に纏っている。
顔は男の俺でも分かるくらい整っていて、かなり美形だ。
「どうも…」
もう、驚きすぎて逆に冷静になったね。
うん。
結構度胸が付いたな。
俺。
「僕の名前はアヴェンティーノ・マッシモ。アヴェンで良いよ」
「はぁ…」
えー。
頼むからもう少しまともな登場をして下さい。
ケネディ・ファミリーの皆さん。
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