931人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕等は今日の朝、日本にやって来たんだ。その前までは、僕はイタリア支部にいたんだ」
へぇ。だからルーシーさんは朝早くに帰ったのか。
しかしケネディ・ファミリー。
日本だけで無く、イタリアにも支部があるのか。
なかなか大きな組織だ。
「クレアは最近ファミリーに入ったんだ。日本の訓練施設が一番設備が良いからね。明日から地獄の訓練さ」
「地獄の…、訓練?」
「あぁ、まぁ死ぬような事にはならないと思うよ」
怖いな。
「とにかく、新人クンは早く読んでサインしてクダサイ」
クレアさんは俺の向かい側に座り、残りの書類を机に置いた。
「あ、はい」
「ハイ。確かに確認しまシタ」
クレアさんは俺の名前が書かれた契約書を受け取り、見る者全てを魅了する様な魅力的な笑顔を俺に向けた。
「Welcome、tomyfamily。コレでアナタは私達の家族デス」
「よろしく。新人」
アヴェンは立ち上がり、左手を前に差し出した。
「……あぁ、よろしく」
これで今日からマフィアかぁ。
なんか特別な儀式でもあるのかと思っただけに、なんか拍子抜けだな。
「じゃ、明日から頑張れよ。3日耐えたら、後は楽だから」
「は?何が?」
「何がって…。訓練に決まってるだろ?」
「へ?」
☆ ☆ ☆ ☆
「あー、気が重い…」
「大丈夫デスヨ。最初は楽デスヨ新人クンの場合。昨日まで一般人だったんダカラ。それに私も狙撃手コースだから体力は要らないし。アヴェンは前線戦闘員のコースだったから、キツかったんデスヨ」
そう言いながらも、クレアさんの顔は沈んでいる。
どのコースでもキツいんだろう。
ちなみにに訓練のコースは前線員コース、後方支援員コース、幹部養成コースと、大きく分けて3つ。
クレアさんは狙撃手なので後方支援員コースだ。
俺はどこ何だろうか。
「しかし、寒いッスね」
「えぇ。私の国でもここまで寒く有りマセンヨ」
まぁ当たり前だ。
驚く事無かれ、俺達の現在位置は、北海道。
日本で一番寒いホッカイドー。
契約書にサインして、直ぐに、家に帰って荷物を纏めて出発だ。
それから飛行機と電車を乗り継いで、約8時間。
初対面のクレアさんと2人っきりで8時間。
気まずい気まずい。
胃に穴が空くかと思ったよ。
最初のコメントを投稿しよう!