僕、マフィアになります。

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「僕等は今日の朝、日本にやって来たんだ。その前までは、僕はイタリア支部にいたんだ」 へぇ。だからルーシーさんは朝早くに帰ったのか。 しかしケネディ・ファミリー。 日本だけで無く、イタリアにも支部があるのか。 なかなか大きな組織だ。 「クレアは最近ファミリーに入ったんだ。日本の訓練施設が一番設備が良いからね。明日から地獄の訓練さ」 「地獄の…、訓練?」 「あぁ、まぁ死ぬような事にはならないと思うよ」 怖いな。 「とにかく、新人クンは早く読んでサインしてクダサイ」 クレアさんは俺の向かい側に座り、残りの書類を机に置いた。 「あ、はい」 「ハイ。確かに確認しまシタ」 クレアさんは俺の名前が書かれた契約書を受け取り、見る者全てを魅了する様な魅力的な笑顔を俺に向けた。 「Welcome、tomyfamily。コレでアナタは私達の家族デス」 「よろしく。新人」 アヴェンは立ち上がり、左手を前に差し出した。 「……あぁ、よろしく」 これで今日からマフィアかぁ。 なんか特別な儀式でもあるのかと思っただけに、なんか拍子抜けだな。 「じゃ、明日から頑張れよ。3日耐えたら、後は楽だから」 「は?何が?」 「何がって…。訓練に決まってるだろ?」 「へ?」 ☆ ☆ ☆ ☆ 「あー、気が重い…」 「大丈夫デスヨ。最初は楽デスヨ新人クンの場合。昨日まで一般人だったんダカラ。それに私も狙撃手コースだから体力は要らないし。アヴェンは前線戦闘員のコースだったから、キツかったんデスヨ」 そう言いながらも、クレアさんの顔は沈んでいる。 どのコースでもキツいんだろう。 ちなみにに訓練のコースは前線員コース、後方支援員コース、幹部養成コースと、大きく分けて3つ。 クレアさんは狙撃手なので後方支援員コースだ。 俺はどこ何だろうか。 「しかし、寒いッスね」 「えぇ。私の国でもここまで寒く有りマセンヨ」 まぁ当たり前だ。 驚く事無かれ、俺達の現在位置は、北海道。 日本で一番寒いホッカイドー。 契約書にサインして、直ぐに、家に帰って荷物を纏めて出発だ。 それから飛行機と電車を乗り継いで、約8時間。 初対面のクレアさんと2人っきりで8時間。 気まずい気まずい。 胃に穴が空くかと思ったよ。
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