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「そうなんですか」
なんか、すげぇな。
やっぱ、理由があるんだな。
俺みたいに何となくじゃないんだ。
「ちなみに助けてくれた人ハ、新人君も良く知ってる人デスヨ」
「へぇ」
誰だ?
「支部長、オスカーさんデスヨ」
……マジで?
あの、エセチャラ男が?
チョリースとか言ってた奴が?
「オスカーさん、カッコいいデスヨネー?」
恋する乙女の眼差しか。
クレアさんの目はキラキラと輝いていた。
「マジッスか…」
クレアさんの年頃の女の人って、妙に年上が好きだよな…。
国とかも関係無いんだなぁ。
万国共通。
すげぇ。
なんて思いながら、暫く歩いていると、唐突にクレアさんが立ち止まった。
地図と格闘しながら、クレアさんは呟く。
「ここデスここデス」
「ここ?」
ついた場所は、ただのタクシー乗り場。
何台ものタクシーが、寒い中歩くのを諦め乗り込んでくる客を待っている。
「ここで、迎えが来る筈デス」
「迎え?」
好待遇だな。
と、言うか現在地、北海道は札幌。
一応、かなり都会だ。
新人位、現地集合で良くないか?
場所を教えてくれたら、バスやらタクシーやらで行くのにな。
すると、クレアさんが喋り終わった後、まるで計った様なタイミングで、黒塗りでスモーク張りの、いかにもな車が俺達の前に止まった。
「やぁ、新人、クレア」
窓が開く。
「あ、チェリオさん」
「よ、2日振り」
黒いスーツに身を包み、黒いサングラスを掛けたチェリオさんがそこにはいた。
「なんでチェリオサンガ…?」
「お前の姉ちゃんに騙されたんだよ。なにが”北海道でスキー“だよ。ガキのお守りじゃねえか」
後半は本心ダダ漏れなチェリオさんが、めんどくさそうにそう呟いた。
「………」
この人、本当は怖い人なのか?
「いや、良い人なんデスヨ?
私を助けてくれた人達の1人デスシ」
俺の考えを読み取ったクレアさんが耳元で囁く。
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