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「分かってるわね?クレア?」
「………ハイ…」
ルーシーさんは泣きそうな顔のクレアさんを引き摺る様に連れて行った。
恨めしそうなクレアさんに取り敢えず俺は手を振る。
「クレアさん…、頑張ってー…」
「ハーイ…」
ポンと、チェリオさんが俺の肩を叩いた。
「さ、俺らも行くか」
「はい…」
先が思いやられるなぁ。
☆ ☆ ☆ ☆
「って訳でさ、周りにゃなんも無いし、すげぇ田舎なんだよ」
施設内の見学を終え、割り当てられた部屋へ戻った時には、既に夜10時を越えていた。
シャワーを浴び、遅い夕飯(料理はマフィアの基本、と言う事なので、自炊だ)を済ました後、俺は電波が一本立ったり立たなかったりする携帯を手に取った。
着信履歴の一番上に有ったのが凜香の携帯番号だったので、取り敢えず凜香に電話を掛けてみた訳だが。
「ふーん。大変だね」
何となく面倒臭そうに答える凜香。
「何だよ。他人事だと思って適当だな」
「だって他人事だもん」
「何だよ、それ…」
「もう良いかな?私、明日、部活の合宿に顔出さないといけないから早く寝たいの」
「爛香は?」
「寝た。私も寝るね。おやすみ」
プー、プーと無機質な音が響く。
「んだよ…」
携帯を閉じ、充電器を差してその辺に投げ、俺はベッドに飛び込んだ。
このファミリーは資金が余っているのか、訓練施設の分際で部屋は無駄に広く、1人部屋だ。
キッチンも無駄に豪華で、食材も豊富だったし。
冷暖房も完備されてるし。
あんまり訓練も大変じゃ無さそうだな。
「あー、ヒマ…。寝よ」
あんまり眠くないが、明日は6時起きだ。
早く寝よう。
なんて思う俺の耳に。
ボカンと。
爆発音が響いた。
「何だ!?」
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