プロローグ

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―ゴー…―― 風を切って走る フェンリルの 狂音。 どこまでも延びる 真っ直ぐな道 ―ピリリ…ピリリ…―― 風の音に 混じって聞こえる 携帯電話の着信音 ―ピリリ…ピリ……―― 「…はい……あぁ…今向かっている……」 着信音が止まり 落ち着いた低い声が 響く フェンリルに乗って 風を切っている クラウド・ストライフ 「…もうすぐ終わる…あぁ…わかった…」 クラウドは携帯電話を折り畳むと自分の上着の胸ポケットに入れた。 ―ゴー…―― また 静かな中 フェンリルが奏でる 風の音のみ ―ゴゴゴ…カチ…―― 暫く進むと、フェンリルは一軒の家の前で止まった。 「…俺だ……」 入口の前で小さく呟くと、中からドタドタと派手な音が近付いて来る。 ―バンッ―― 「よぉ!!クラウドー!!よく来たなぁ♪」 扉は勢いよく開かれ、そこに見えたのはひとりの男。 「荷物の配達だからな…」 クラウドは冷たく返すがその表情には笑みが浮かんでいる。 「クラウド!!金はティファの方に払ってあるからなっ!!」 男はクラウドに言いながら家に入っていく。 それに続いて、クラウドも中に入る。 「あぁ…聞いている…」 どうやらこの二人は顔見知りのようである。 この男の名は バレット・ウォーレス 「お、こいつはユフィからだ♪お前にだとよ♪」 バレットはクラウドから自分の荷物を受け取ると、代わりに小さな箱をクラウドに差し出した。 「俺に…??」 クラウドは不思議そうに箱を受け取った。 箱は綺麗にラッピングされ、如何にも『プレゼント』という雰囲気を醸(かも)し出している。
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