思い出のマーボーカレー

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アーチェが去っていった後にポツンと残されたチェスターはそのまま機関室でそっと、袋のひもをほどいた。 (船長はディセンダーと修行に行ってきてるから、ここで飯を食べても大丈夫だろ) チェスターはそう思い、袋の中身の鍋を見つめる。 一目見て分かったこと。 これはバンエルティア号の鍋だ。 間違いない。一度、この鍋をチェスターが床に落としてしまったことがあって、へこんでいるのだ。 (同じ場所がへこんでる…アミィがバンエルティア号に来たのか、それとも…?) チェスターは疑問に思いながら、スプーンをマーボーカレーに入れ、スプーンを自分の口に入れる。 (この味…間違いなくアミィじゃない…少し辛すぎるな…) パニールが作った…? いや、違う。 パニールは辛くしすぎるようなミスはしないだろう。 カノンノは自分が見たときはマーボーカレーを作れないと言っていた…。 アーチェの笑顔。 そう…アーチェだ… きっと、自分のために…チェスターの元気を出すために作ってくれたのだろう。 そう、思った瞬間にチェスターの目から涙がこぼれ落ちた。
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