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遺影の顔が歪んだ。
否、私の視界が歪んだんだ。
あぁ、やっと泣けた。
目を閉じると、浮かぶのはおばあちゃんの顔。聞こえるのはおばあちゃんの声。
「あの人は言ったの。
『泣かないで。ずっと笑っていてほしい』ってね。ふふふ。」
頭の中のおばあちゃんは、
そう言って微笑んだ。
まもなく出棺のようだ。
お棺がみんなの真ん中に運び出されてきた。
みんなが次々花をいれていく。
顔が埋もれてしまう程に。
やっと私に花の入ったお盆が回ってきた。
色とりどりの花はもうすでにとられて、残っているのは菊のみだった。
私はそれを、おばあちゃんのお腹の辺りにおいた。
といっても、既におばあちゃんの上は花で溢れかえっていて、あくまで辺りなのだが。
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