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(この世に生まれた意味なんてない。人の存在、俺の存在に意味なんてない)
自分みたいな人間は、小説の主人公みたいに華々しくエンディングを迎えることもない。
きっとガンになったり、心臓か脳が駄目になったり、肺炎になったりして特に変ったことなく普通に死んでいくのだろう。
そう彼は自己の終焉を予想している。いや、確信している。
(生きたいから生きてるんじゃない。死ぬのが怖いから生きてるんだ)
瞬間、背後で鳴る、思わず身を縮めてしまう程の高く短い音。
それが脳を貫くのと同時に、彼の言い訳も砕かれた。
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