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勿論、彼女が元々彼に対して抱いていた憎悪や憤怒は、その炎を絶やしてはいない。
しかし、最近はそれ自体にさえ疑問を持つようになっていた。
彼のことについて思いを巡らす度に、自分の思考回路は段々規律がおかしくなっていく。
こういう感覚に類似したものは今までに経験したことがあるが、あくまでも似ているというだけであり全くの別物である。
ただ、少なからずとも彼女の中には彼に対する、先のものとは違う特別な感情が芽生えているのは確かだ。
本人はそれを自覚しているものの、認めてはいない。
(空理空論。……私の使命は唯一つ、次の神に相応しい人間を見付けること。それ以外のことは考える必要などない)
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