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ギリギリというブリキの玩具の様な音を立て、ぎこちない動きで近付いてくる鉄人間。
それに対する恐怖は、自然と疾の中で膨らんでいく。
「ダヂ ギャ ゴラゲンビョギュボグ?」
廊下へ逃げ出そうとする彼の後ろ首を、ひんやりとした硬い感触が包んだ。
あの鉄人間が動きを速め、疾だけを狙い襲って来たのだ。
そのまま数十秒前と同じ高い音を廊下の窓ガラスと拳で鳴らし、鉄人間は疾と共に飛び出す。
「あ……」
その一文字を発するのが精一杯だったが、それには沢山の思いが詰まっていた。
痛い、怖い、何故自分が襲われたのか、この鉄人間は何なのか、これから何が起こるのか。
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