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目の前に見える空では、鷹が鳩を口に咥えて飛んでいる。
そこに向かって右手を伸ばすが、割れた窓ガラスの破片が少し刺さっただけで、いつもとはまた別の虚無を疾は感じ取った。
「──」
その時、正に瞬きの間、彼は自分を嘲笑うかの様な少年を見た。
何処か自分と似ている、それであって違う少年を。
(……別にもう、どうでも良いな)
昔はもっと、彼はクラスの中心的な存在だった。
しかし、いつからか他人と深く関わりを持たなくなり、様々なことを出来ない訳でも出来る訳でもない、普通になってしまった。
その頃にはもう、他人から笑われたり嫌われたりすることもなくなっていた。
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