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「あっちにいる」
ココウは目線で位置を告げ、そのすらりとした尾をシュッと一回振った。
そうかと頷き目を泳がせると、気ぜわしげに嘴(クチバシ)を鳴らす巨鳥の姿が目に留まる。
どうやら、好奇心旺盛(オウセイ)な子供を向こうにやりたいようだ。
子供も、リファイン鳥程大きな鳥を見たことがないのだろう。そんなことをされながらも、離れていく気配が全くない。
そんな光景から目を離すと、死体処理班が引き上げようとしているところを見かけた。
二体の処理を終え、どうやらそろそろ帝都に帰るようだ。
「俺達もそろそろ帰るか?」
そういいながら振り向くと、丁度アナンも村長との会話が終わったらしく頷いた。
村長は相変わらず笑顔を崩しておらず、彼らを見送るためか、一歩後ろへと身を引く。
「あなた方の未来に温かな幸福のあらんことを」
この地方特有の挨拶(アイサツ)のようだ。文化によってその内容は様々だが、大抵は親しいもの、または自分達を助けてくれた者を送る言葉らしい。
「あなた方にも幸福があらんことを」
その言葉を最後に、アナンが口笛を鳴らすと、リートが軽いジャンプを2、3回繰り返しながら2人に近付いて来た。
リートは2人をその背に乗せると大空へ飛び立つ。
巨体が、音も無く浮き上がるのだ。
朝焼けに染まる空に、ライフは目を細めた。意識していなかったが、もう朝だ。
顔を出し始めたばかりの太陽に、リートの羽が黄金色に輝き、見る者の瞳に、光の筋を焼き付けていった。
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