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「はっしー、今日一緒に帰れないや。」
唐突に恋人の高木くんから言われて、今まであんなに楽しみにしていた明日の誕生日が急に色褪せたようにつまらなくなってきた。
あーあー…12時には一緒に祝おうね!なんて言ってたのに…。
「もー高木くんなんか知らない!」
俺はむっと唇を尖らせて高木くんにそう言うと反応も待たずにそのまま自分の家まで帰るとベッドにダイブ。
高木くんにフラれちゃうんだ、俺…。
そう考えたらさっきの怒りなんかしだいに小さくなってその代わり、涙が溢れ出して止まらなくなった。
「高木くん…」
口に出して呟くと枕をギュッと抱き締めて丸くなった。
コツン、コツン。
ん?窓から音…?やだな、怖いな…そう思いながら恐る恐る覗くと俺は驚きのあまり口を押さえた。
「た、高木くんっ!!」
急いで自分の部屋から出ると玄関まで走ってドアを開けたらいつものように優しい高木くんの笑顔。
人目なんて気にせずにギュッと相手に抱き着いた。
「はっしー…誕生日おめでとっ」
言われて、えっ?と思って携帯のサブディスプレイを見ると12時ぴったりだった。
嬉しくて泣きそうになっていると高木くんは「約束したでしょ?一緒に祝おうって」なんて言ってくれて。
俺、今、一番幸せ。そしてありがとうの気持ちも込めて唇にキスをした。
高木くん、ずーっと大好きだからね!
‐END‐
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