それは突然、薮から棒に

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「一体何だ、これは? からかっているのか?」 書類は、読めば読むほど謎だった。 ちょっと待て。 まず、初めに。 高等学校入学? 私は、自分でいうのも何だが、おっさんだ。 43歳のおっさんだ。 妻がいて、子どもが2人いて、市役所に勤めている一般人。 学校に通うなど不可能である。 二つ目。 魔術学校って何だよ? 私は王家とは何ら関わりない一般人だ。 何で私がそんな所に通わなきゃならない? 無茶を通り越して不思議すぎる。 「明日、この書類の発行元の魔術庁に電話してやろう。 何かの間違いかも知れないし、からかうにしてもこれは悪ふざけが酷すぎる」   と、そう言ったら、 「いえ、その必要はありません」 とても冷めた口調で妻がそう言った。 「何故?」 「すでに私が電話済みです。 何かの間違いでもないそうです。 明日、関係者がお越しになり、詳しい説明をして下さることになっています」 「じゃあ、明日は市役所を休まねばならんのか?」 「そういうことになりますね」 妻は、仰々しく頷いた。   コメカミに青筋を、破裂しないか? と心配になるほど立派に立てて。 いや、何故お前がそんなに怒る? 怒りたいのは私だ!
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