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「言い掛かりもここまでくると滑稽じゃのう……」
老人はそう言うと、わざとらしく悲しそうな表情を作る。
「……とぼけやがって。そっちがそのつもりならこっちも本気で行かせて貰うぜ」
若い男は、先程から青く光る両手をゆっくり合わせた。
「はぁーっ!! 喰らえっ、『所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権』っ!!」
若い男は勢いよく叫ぶと、両手を合わせたまま手を開き、老人に突き出した。
すると、先程から手の中で青く光っていたものは、エネルギー弾となって老人に迫る。
「ふぉっふぉっ、なんじゃそれは、全くよく笑わせてくれる小僧じゃわい」
老人は、余裕の表情で言う。そして、右手を飛んでくるエネルギー弾に向かって差し出すと、正面から掌で受け止めた。
蒼いエネルギー弾は、激しい音を出して拡散する。老人にかき消されたのだ。
「雑魚い雑魚い……。お主、もう少し学べい。登記もないくせにそんな攻撃が通るわけがなかろうに……」
老人はそう言うと、左手から赤い光を発し始める。
「お主にはこれで充分じゃわい。それっ、『対抗要件の抗弁』」
老人の左手から赤いエネルギー弾が出る。エネルギー弾は、凄まじいスピードで若い男に迫る。
「ぐわっ!! く、くそっ」
若い男は、辛うじて両腕を使って受け止めた。しかし、両腕にかなりの傷を負ってしまった。肉がえぐれ、多量の血が流れ出ている。
確かに、所有権というのは絶対的権利であるが、それを第三者に対抗──つまり、主張できる登記がなければ戦いにおいて圧倒的に不利である。
「ほう、まだ立っていられるのか……。こりゃなかなか、がんばるのう」
若い男がまだ立っていることに、老人は感心した。
「はあっ、はあっ。こんなんで……負けるわけにはいかねーんだ」
若い男は、衝撃で倒れそうになりながらも大地を踏み締め、必死に立った。
その姿勢からは、一歩も譲らぬ覚悟が伺われる。
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