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「そうか、ならばワシも多少本気でかからねばならぬなぁ」
老人は、今度は両手から赤い光を発する。
「なにっ!? まだ何か攻撃をすることが?」
予想していなかった老人の言葉に、若者は少し怯える。
「ふぉっふぉっ、なにが来るか予想がつかんか? ……ところでお主、今、あの土地の登記は何処にあるか解るかの?」
老人は不適な笑みを浮かべて聞いた。
すると、若者の顔はすっと青ざめる。
「ま、まさか……」
若者は一言だけ、そう呟いた。
「そうじゃ、そのま・さ・か、じゃわ。登記はの、わしが持っておる。どうやら、これで終わりのようじゃのう。今回は運が悪かったとおもうことじゃの」
老人は、両手の掌を若い男に対して出す。掌から赤い光が一層輝き始める。
「ていっ!! さらばじゃっ、『対抗要件具備による所有権喪失の抗弁』っ!!」
老人はそう勢いよく言うと、先の攻撃とは比べられないくらい大きなエネルギー弾を出した。
エネルギー弾はぐんぐんと若い男に向かっていき、若い男の上半身に直撃する。それと同時に、轟音が周囲に響き渡る。
「ぐわあああああ!!」
若い男は吹っ飛び、後ろの側壁に体をぶつけて倒れ込む。ぴくぴくと全身が痙攣している。
「終わり、かの」
老人は、手をぶらぶら振りながら呟いた。
本件のような典型的な二重譲渡事例において、『対抗要件具備による所有権喪失の抗弁』はかなり強力な攻撃である。
登記はないが、辛うじて土地を所有していることになっている男の、所有権を根こそぎ奪い去る恐ろしい攻撃なのだ。
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