第0幕 朝のキッチンにて

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?「あたーらしーいあーさがっきったっ!!きぃーぼぉーおのっあぁーさぁぁぁっだぁぁぁぁぁ!!!!」 ただいまの時刻はAM5:45 俺は音程の外れた、もはや奇声に近い声を聞いて、名残惜しくも夢の世界からサヨナラをした。 バタバタっと階段をかけあがる音を聞きつつも、俺は朝のダルさで起き上がれないでいた。 大体何が希望の朝だ。 月曜日なんぞ何だかんだで魔窟に行かざるをえなくなっちまった勇者の気持ちとほぼ一緒じゃねーか。 鬱々と布団の中で寝返りをうっていると、なんの躊躇もなく部屋の扉が開け放たれた。 「……ぐほぉぉ!!!」 バーンっという音と共に現れた妹は(もちろん俺の)、階段でつけた勢いのままうつ伏せの俺にジャンピング正座をかましてきやがった。 いきなりのことに俺は潰れた蛙のごとく情けない声を出しながら妹の体重に堪え…… 「重い重い重い重いっ!!!!!お前馬鹿っ贓物が出っ…………いだだだだだっ!!!!!」 何故か俺の言葉に怒りを覚えたらしい、妹様は俺の上に立ち、あまつさえ頭を踏んできやがった。 残念ながらM疑惑が浮上するどころか、どちらかというとドSという称号が(友人から)与えられている俺。 どれだけ絶世の美女に踏みつけられようとも嬉しくなどない!!!…………うん。 ようするに、自分の、ましてや妹なんかに踏んづけられるのは、ただの屈辱でしかないわけで。 ただいたい、なんで俺が踏まれなきゃいけないんだ。 ……いや、現状を悪化させたのは俺かもしれないけれども。
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