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洗面所に入り、蓋が開けっぱなしの洗濯機に服を投げ入れ、俺はすぐ横の洗面台の前に立った。
「……はぁぁぁぁ」
洗面台の上にある鏡にを見て、思わずため息をついてしまった。
鏡の中でだるそうに突っ立っているのは彼方 由良(カナタ ユラ)っていう俺の分身な訳だが、どうも日々の疲れが蓄積されていってるようで、目の下の隈がさらに色濃くでていた。
中の中間くらいをさ迷っていたはずが、つーか中の下?みたく酷い顔になってきている。
寝起きに妹から言われた事が妙に正しすぎてなんだか悲しくなってきた。
「自分の思考に傷ついてどうすんだよ……」
完璧な一人言を吐きつつ、俺は青い色の着いている蛇口を捻って水を出した。
パシャァァっと、音をたてて流れていく水を横目で見ながら、俺は少し長くなってきた襟足をゴムで結んで、流れ出る水を手ですくいあげる。
家のどこにいても蒸されているような暑さなだけに、手から伝わる冷たさは心地よかった。
すくいあげた水を半分以上溢しながらも、残りの水で顔を洗って近くに放置してあったタオルで水気を拭った。
鏡を再び見てみると、髪が所々跳ねているが…まぁ気にしない。
前髪も目にかかっているが、それも気にしない。てかめんどくさいから現代の若者よろしく放置してやる。
茹だる暑さのなか、裸の足をぺたぺたとならしながら、俺は洗面所を後にした。
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