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が、なんの応答もなく、 シーンッ とした空気が流れる。 いないのかな? そう思い仕方なく、既に持っていたカードキーで部屋の鍵をあける。 やはり中は静かで、誰かのいる気配は感じられない。 ってか 『でっけーーー』 さっき牧が言っていたように、 部屋には一般のアパートなんかよりもよっぽど良い設備が施されている。 思わず部屋の真ん中にあるソファーへダイブしてしまった。 『やっべ。ちょーフカフカだー』 部屋を見渡すと、両脇にもドアがある。 お風呂やトイレは入口からこの部屋に来るまでにあったので違う。 おそらく個人の部屋になっているのだろう。 勝手に開けたらやばいよなー そう思い、自分の部屋探しは断念。 おとなしく、ルームメイトだという龍崎を待つことにした。 「‥い、おい!‥起き…起きろ!!」 一際大きい声で現実へと引き戻される由紀。 『ん..う..だーれ?』 寝起きのため少し舌ったらずになるが本人は気づかない。 由紀が見上げると、目の前には端正な顔の男が眉間にシワを寄せながら睨んでいた。 「あ゙ぁ?てめーが誰だよ」 だんだん頭がはっきりしてきた由紀は、ゆっくりとソファーに沈んでいた上体を起こす。 『俺は神崎由紀。今度はお前の番だよ』 そう言って、くいっと顎で男をさしてみる。 .
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