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「…紗智は中身知らないからな…。
その言葉、本人の前で言ってやってくれ。喜んで、何かくれるかもしれないから」
鼓がため息混じりで言う言葉に疑問を持ちつつも、私達は家へと向かった。
「ただいまー」
鼓が玄関を開けて中に入る。私は入るに入れず、扉の前でモジモジしていた。
「? 何やってんだよ。入れよ」
「お、おじゃまします…」
鼓に促され、意を決して中へと足を踏み入れた。
綺麗に片付けられたその玄関には花瓶に花も活けてあり、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
その雰囲気に少し気持ちが柔らかくなって、家へと上がる事が出来た。
「俺の部屋は二階」
履いてきたサンダルを並べていた私は、慌てて鼓の後を追った。
でも、鼓の足音が階段の途中で止まった。
どうしたのかと見てみると、二階から私達を見下ろしている和音さんの姿があった。
「昨日からソワソワと部屋の片付けしてると思ったら、やっぱり彼女連れてきたんだ~。
初めまして。私、コイツの姉の和音です…って、もしかして貴方…」
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