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鼓に似ている笑顔を浮かべてた和音さんだけど、私に気付いてその表情が曇った気がした。
私は慌てて挨拶をした。
「あ、あの!二回目なんです!いや、話すのは初めてなんですけど、去年のお祭りの時にお顔は拝見してて…。
私、当麻紗智と言います。よろしくお願いします!」
私は勢いよく頭を下げた。
その横で、鼓が笑うのを堪えている気配を感じた。
「当麻って、もしかして…」
「そう。優の妹だよ。去年親が再婚して兄妹になったんだよ」
「そう…なんだ」
声の感じから、和音さんが安心したように感じたので、私はゆっくりと顔を上げた。
そこには優しい笑顔の和音さんがいた。
「やっぱりお祭りで会った子だったのね。私、あの時は優の彼女だと思っちゃったわ」
その言葉に、あの時の事を思い出す。
あの時は、まだお兄ちゃんの事が好きだった…。
「え~と、紗智ちゃんだよね?改めてよろしくね」
そう言いながら階段を下りてきた和音さんは、ショートパンツに大きめのTシャツという、凄くラフな格好だった。
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