夏の始め

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次の日の十時半頃、私は学校の正門前で鼓を待っていた。 まだ午前中とはいえ、十分暑い。私は木陰に入って、鼓がどの方向から来るかキョロキョロしていた。 それから直ぐに、右の道路から来る鼓の姿が見えた。鼓も私に気付いた様で、小走りで私の方へ駆けてきた。 「ごめん、待ったか?」 「そんなに待ってないよ。それより暑いね~」 「そうだな。早く家に戻るか」 そう言うと、鼓は私の手を取り歩きだした。 勿論手を繋いでいたら暑い!でも離れたくなくて、私も鼓の手を握り返して一緒に歩いた。 …そういえば、鼓に会える事が嬉しくてそんなに考えてなかったけど、もしかして今日はご家族の方がいるんじゃ…! 私は一気に緊張してしまった。 「…ねえねえ」 「ん?何だ?」 「もしかして、今日ご家族の方いるかな?」 私は不安そうに鼓の顔を見上げる。 すると鼓は意地悪そうな笑みを浮かべてきた。 「気になるか?」 「そ、そりゃあ気になるよ!私こんな格好で来ちゃったし…」  
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