狂い始めた歯車

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この飾りは非常に頭が良いらしい。不便な所があれば、自分でどうにかしてしまう様だった。言葉で表せば、「生きている飾り」だとでも言えるのではないだろうか。 綺麗だった彼女もその飾りの便利さにかまけて、次第に自分で自分のケアを怠っていった。肌の手入れ、髪のケア、ダイエットなどの自分の体に対する事が次第に面倒臭くなっていったみたいだ。 彼女の身に付けている飾りは更に自分の都合の良い様に更に彼女の事を人工的に綺麗にしていった。 彼女は自然な美しさは陰を潜め始め、人工的な美しさが更に目立ち始めていった。 彼女はその頃には、ほとんど自分の手入れをせずに、ただ何かに生かされている感じになっていった。 そして、彼女は生きた目をしなくなり、髪や肌の艶は弱り始めた。 彼女は確かに外から見たら、綺麗なのかもしれない。格好は決して悪くないから。 ただ私から見れば、あの頃の彼女は前の綺麗だった頃の彼女と比べて、こう思った。今の言葉で考えれば、日本人が使う「月とスッポン」という言葉がピッタリだろう。「月」ではない。「スッポン」である。
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