御伽噺の様な世界

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おじいさんとおばあさんは私を大切に育ててくれた。神の影響かもしれないが、私の成長は尋常ではなかった。 さっき言い忘れたが、元の星の形ではなく、私が憎んでいた筈の“ヒト”の格好だった。おじいさんを最初に見た時は憎んでいたが、息苦しい「竹」の中から出られた事が私の心の中で優先されて、おじいさんとおばあさんに対しての嫌悪感はそれほど沸かなかった。 親切にされていると次第に憎んでいた筈の“ヒト”に対しての憎しみは和らいでいった。 数日後、私の元に求婚者が数人現れた。身なりも性格も嫌味ったらしそうだったので、私は難しい課題を出し、求婚をはねつけた。私の嫌いな“ヒト”そのままだったからである。 おじいさんとおばあさんは良い話を断ったと心配してくれたが、私は求婚者がことごとく失敗して、私の前から去っていたのを内心喜んでいた。
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