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「ごめんね……ごめんね泉……。近くにいたのに守ってあげられなくて……。ごめんね、ごめんね……こんなことになるんだったら、もっとお母さんらしいこと沢山してあげれば良かった……」
ポロポロと止め処なく滴る雫で顔をグシャグシャにして、ただ謝るママ。
違う、違うよママ。ママは悪くない。私の不注意が招いてしまったことなんだ。謝りたいのは私の方だよ……親孝行の一つもしないで、それどころか両親よりも先に死んでしまうなんて、とんでもない親不孝をしてしまって。
「ごめんなさい……ママ、パパ……」
私の心は潰れてしまいそうだった。ここに私がいる意味、理由がなんであれ、こんなのって無いよ……。
私はここにいるよ。と、ママを慰めることは愚か、温もりを感じることも、たった一言届けることすら出来ない。
せめて最後に一言でも伝えられるなら、謝りたい。でも、それすら適わない。お別れもさせない。私をただ痛めつけるだけの生殺し。
もう、一生――それは終わってるね。もう永遠に、この大切な大切な温もりに触れることは出来ない。
まるで、その意識を深層に植え付けるが為に私はここにいるようだった。
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