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あなたが見つめていた
一輪の花の為に
僕は傘をささず
一緒に雨に打たれた
濡れる笑顔に触れた
あなたの手は
いつも温かかったから
僕は冷たさなんて感じなかった
あなたが気にしていた
一輪の花の為に
僕は背を向けず
一緒に風に吹かれた
飛ばされた涙を包む
あなたの優しさは
いつも側にあったから
僕は痛みなんて感じなかった
二人が見つめていた
一輪の花に
水をあげ 声をかけ
大きくなるように
「育って下さい...」と
二人の花に
願いを込め 見守っていた
あなたが大切にしていた
一輪の花の前で
僕は盲目のふりをして
当たりかまわず踏み荒らした
萎れた二人の花が
囁く言葉は
あの時の僕の耳には
届かなくて
花の前で泣き崩れた
あなたの姿だけが
今も忘れられずに...
二人が見つめていた
一輪の花に
笑顔を見せ 涙を見せ
二人の姿を全て見せて
「枯れてしまわないで...」と
君は言ったけど
僕は何も出来ずに
その姿をただ目に焼き付けてた
二人が見つめていた
一輪の花に
ごめんね ありがとう
さようなら
「また育ててね...」と
花が僕にこっそり囁いた
けどこぼれる落ちる涙を拭いて
何も言わずに
僕はその場を後にした...
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