高校受験

3/8
前へ
/66ページ
次へ
 由衣はキリのいいところでペンを置いた。  そして、椅子の背もたれに寄りかかりながら、大きく伸びた。  由衣は溜め息混じりに息をはくと、サンドイッチを食べながら、明日の試験の準備を始めた。 (…忘れ物は…ないかな。筆記用具と…受験票と…)  由衣は何度もカバンの中身をチェックし直した。 (これで大丈夫。)  由衣はカバンを机の上に置いて、ベッドに入り眠りについた。  試験当日―  その日は朝から雨が降っていた。  由衣はいつもより早く目覚めて、試験会場に向かう準備をしていた。 「ママ、おはよう。」  リビングに行くと、母親が朝食の準備をしていた。 「おはよう。由衣、いよいよ試験日ね。緊張し過ぎて頭が真っ白にならないように頑張ってね。」  母親の言葉に、由衣は笑顔で返事をした。  朝食を済ませた由衣は、緊張でじっとしていられないせいか、予定より早く家を出る事にした。 「じゃあ、行ってきます。」 「気を付けてね。精一杯頑張ってくるんだよ。」 「ありがとう。ママ。」 「合格できたら、約束通り買ってやるからな。」 「約束だよ。パパ。」  両親に見送られて、由衣は試験会場に向かった。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加