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「雑魚め。まったく。レベル1はちょろ過ぎるな」
倒した狼を前に、術具から炎を消すミーア。
数年後。防衛学園に入って数日の間に、ミーアはレベル1をクリアした。だが、その前にウィルバーはいない。
「銀髪の女に一目惚れ、か。これでまたアイツをからかえるな。今度はどんな顔をするか、面白そうだ」
呟くミーア。だが言葉とは裏腹に、どこか悲しげな顔だ。弟が、自分の弟でなくなってしまったような気分。ミーアはぱんぱん!と自分の頬を叩き、いつも通りの笑顔に戻す。
「さあ~て、戻るか」
最後にそう言って、ミーアは街へと帰った。
ミーアは、知らない。
あげた服とノービスソードは、今もまだ大切に、ウィルバーの部屋に飾られていることを。
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