一人の少年の勇気

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「おいセリム、ご指名だ」 隣にいた友達が俺をつつく。どれだけの時間呆然としていたのだろうか。ご指名?メリルさんがか? 「セリムというのか?君はまだだな。そろそろ、少し変わった趣向の依頼もしてみようと思う。いいか?」 メリルさんが俺のこと……セリムって呼んでくれた……! 「は、はいっ!何でも!」 「そうか、じゃあこのウィルバーが持ってきた丸虫の肉で、肉団子スープを作ってくれ」 丸虫の肉……!聞いただけで、鳥肌が立つ。だが、せっかくもらったチャンスだ。 「全力でやらせてもらいま……」 言いかけて、止まる。 ダメだった。俺は、本当にダメな奴だ。丸虫の肉を見た瞬間、こみ上げてきて…… 「オェェェェッ!」 吐いてしまった。よりにもよってメリルさんの前で……。
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