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「おや、お主がここへ来るとは珍しい」
ボフン。口から白い煙が出る。
群書の収納空間、円環の広間。昇降機を降りた金髪の少女に、准将は言う。
「少し調べものがあるもので。すみませんけど、鍵を貸して頂けます?」
「うむ、それは構わんがな。どの鍵だね?」
「ほら、先日の迷い人さん。あの方が入った本の部屋のを貸して下さいな」
承知した、と言って、ジャラジャラと音のなる鍵束を取り出す准将。その中から一つの鍵を取り出し、ツヴァイに手渡す。ツヴァイはそれを握りしめ、一つの部屋へと歩き出した。
「群書なんぞで、一体何を調べるのかね?」
鍵束をしまいながら、准将が問う。
ツヴァイはいつもの微笑みを浮かべた顔だけ振り向かせながら、落丁の仮説を確かめにです、と。
「まあ半分は休憩なのですけれど」
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