WILBUR&MEER OLD DAYS STORY

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街を駆ける二人の子供。店番の青年に声をかけ、路傍の石を蹴り飛ばし、裏路地を通り抜け、ひたすらに走り回った。 いつしか日は傾ぎ、二人は最初の目的も忘れて遊び回る。楽しい。その感情を追い求めた。 「あーっ!」 突然ウィルバーが叫んだのは、もう日が半分沈んだ頃だった。 「どうした?ウィルバー」 「ミーアち……先生、強くなるの忘れてたー!」 「ああそのことか。いいかウィルバー生徒。今日はたくさん走って疲れただろ?それで十分だ。後はしっかり食って寝な。そんだけで強くなれんだ」 「ほんと?」 半信半疑、といった顔でミーアを見るウィルバー。ミーアは大きく頷く。 「さて、帰…「ミーアちゃん後ろ!」 叫び。直後巨大なネズミがミーアの頭部を襲う。振り返ると同時に素早く身を倒し、間一髪かわしたミーア。なびいた髪にネズミの爪がかすめる。 「何だこのでかいネズミ……ッ!」 「ほれそこの……あたし達もいずれ入ることになる防衛学園の訓練施設からでも逃げ出したんだろうな。ウィルバー、ちょっと盾になれ」 よっこらせ、と立ち上がり、ミーアはトーチともう一つ、剣を取り出した。 「盾にって……無理だよ!」 「これ使いな。ノービスソードって剣だ」 ほい、とそれを投げ、ミーアはトーチを握りしめる。剣を受け取ったウィルバーは、怖がりながらもそれを構え、巨大ネズミの方を向いた。 今こそ、ミーアを守る時。決心を固めた瞬間、ネズミが突撃を開始した。
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