エピローグ

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`  太陽は少しずつ、海の中へと飲み込まれていく。  先ほどまで賑わっていた公園は、少しずつその人影を減らしていた。 「これ、……やっと見つけたんだ」  奏大はおもむろに美羽へ箱を差し出した。  ピンク色の包装紙に包まれた、手のひらサイズの箱に美羽は首をかしげる。 「開けてみて」  奏大に促され箱を開けると、中にはオルゴールが入っていた。  ――夕日に照らされ紅く輝くスズランの彫られたクリスタル。 「スズランの花って意外とないんだね、探し回ったよ」  息を飲む美羽に、奏大はそう言って俯き深く息を吐いた。  再び顔を上げた奏大は、緊張した面持ちで美羽を見つめ口を開く。 「美羽と永遠の愛を誓いたい。……結婚して貰えませんか?」  驚いた表情の美羽の目から涙が溢れてくる。 「喜んで」  美羽は溢れる涙でぐしゃぐしゃになった顔で微笑んだ。 .
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