錬金術師の卵

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「うわ……」 扉を開いた瞬間、グランは目を疑った。 受け付けに並ぶ長蛇の列が、グランの目に入った。 どうやら満席のようだ。 「でも……中に来ちゃったし、とりあえず並ぼうか」 二人は列の最後尾に付いた。 そして待つこと数分。 意外と進みが早く、あっという間に食事にありつけた。 しかしテーブルが空いていない。 グランはどこか空かないか、端っこから食事内を見渡す。 すると、近くから。 「おーい! 良かったらここ座りなよー!」 ざわざわしててイマイチ聞き取りにくかったが、確実に誰かが呼んだ気がした。 もう一度食堂を見ると、壁際の席の二人の女子生徒の一人がこちらに手を振っていた。 グランはゆっくりと、二人に近寄る。 手を振っていなかった生徒は、もう一人の生徒に、何やら注意をしているようだ。 「あの……俺達を呼んでくれたの?」 グランは手を振っていた女子生徒を見て聞いた。 見た感じ、二人共一年生のようだ。 「あなた達以外にいないわよ。ここに座っていいよ」 金髪の、少しおちゃらけている女子生徒が空いている二つの席を勧める。
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