異国の剣士と、マナを操る錬金術士

23/32
前へ
/120ページ
次へ
「よし、今のうちに……」 「えっ?」 マリーが何かを呟き、ソロソロとその場を離れようとする。 「マリーさん、どこに行くんですか?」 不思議に思ったから声を掛けたが、マリーはビクッと体を動かす。 「しーっ! 今は話し掛けないで……」 「あっ、逃げちゃダメですよ! まだ酒場の依頼を終わらせてないんですから!」 纏わり付くイングリドとヘルミーナをリリーに預けると、駆け足でマリーを捕まえて言う。 酒場の依頼。 どうやらマリーはそれの事をすっかり忘れていたようだ。 「い、依頼? あれはエリーがやってくれたんじゃ……」 いや……どうやら忘れていた訳ではないが、勘違いを起こしているらしい。 「はい、確かに私が最後をやりますが、素材を集めてきてくれるはずのマリー先輩が何もしてなきゃ、進みませんよ! ほら、期限明日までなんですから、急ぎましょう!」 「ええ! 今からぁ!? ちょっと、みんな助けてぇえ!!」 だが、マリーの願いも虚しく、あっという間にエリーに連れられて行ってしまった。 ……案内役が居なくなってしまった。 グランはため息をつくと、リリーが一歩、前に出る。 「まあ、あれなら仕方ないわね。今回はあたしが案内するわ」 リリーが微笑むと、グランは顔を上げた。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加