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「ハインツさん!!」
大声でハインツの名前を呼んだ人物は、入り口を開いた一人の少年。
幼さの残す顔立ちに、赤みがかった短髪。
腰には、その見た目にそぐわない長剣が携えられていた。
少年は勢い良く階段を駆け降り、カウンターを乗り越えんばかりの速さでハインツの下に到達する。
「聞いてくれよ! 今日は依頼人の護衛、しっかり出来たんだ!」
嬉しそうに話す姿に、グランは思わず呆気に取られる。
「ほう、やるじゃないか。だからといって自惚れるなよ? お前さんはまだ未熟者だからな」
「分かってるけど、久し振りの依頼だったからさ」
へへっ、と笑う少年に、リリーが声を掛ける。
「今日は元気そうね、テオ」
テオと呼ばれた少年は、リリーの姿を見ると笑顔を咲かせた。
「姉さんも来てたのか! 今日も依頼?」
「まあ依頼はついでね。本来の目的はこっち」
リリーが首を振ると、グラン達の姿が見えるように横に移動する。
「……?」
テオは不思議そうに首を傾げ、グランとキャリナを交互に見据えた。
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