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四人は酒場の奥にある丸テーブルに座り、話を進めていた。
彼はテオと言い、田舎から出て来た駆け出しの冒険者らしい。
歳はグラン達と同じらしく、二人はすぐに意気投合した。
しばらく話をしながら、リリーが本題を切り出した。
「テオ、良かったらグランに剣の稽古をつけてあげてくれない?」
酒を飲むテオに、リリーは神妙な趣(おもむき)で問う。
彼も冒険者なら、剣の腕はそこそこあるはず。
「剣の稽古? 別に大丈夫だけど……」
「本当!?」
グランは思わず身を乗り出してしまった。
そんな反応に、テオは慌てて手を振る。
「俺はいいけど、グランは俺でいいのか? 俺もまだ冒険者の端くれだし」
「何言ってるのよ、テオらしくないわね」
リリーが茶化すように言ったが、テオの表情は固い。
「頼られてるのは嬉しいけど、期待に答えられるかって言われたら、ちょっと……」
ここまで来てチャンスを見逃す訳にはいかない。
「頼むよ、テオ。もう君にしか頼めないんだ!」
グランは頭を下げ、頼み込む。
「俺、強くなりたいんだ。守られてばっかりじゃなくて、守ってあげたいんだ」
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