異国の剣士と、マナを操る錬金術士

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グランは横目で、隣に座るキャリナの姿を見た。 相変わらずの無表情で、シャリオミルクを飲みながら会話を聞いている彼女を。 それでも渋った反応のテオに、リリーが後押しする。 「二人共、まだ半人前って事だし、お互いに高めあえるいい機会じゃない? グランもあなたに頼ってるのよ」 この一言が聞いたのか、テオは少し考えてから笑顔を見せる。 「そうだよな、せっかく頼ってくれてるんだし。いいぜ、俺で良かったら付き合うよ」 「あ、ありがとう!」 グランはお礼を言ってからリリーを見た。 微笑み返してくれたリリーは頷くと、席を立つ。 「それじゃ、あたしは帰るわ。イングリド達が待ってるからね」 手を振りながら出口に向かう。 ハインツに声を掛けられ、少し会話をしてから店を後にしていった。 本当にリリーには感謝しきれない。 「今日はもう暗いから、また別の機会だな。俺は大抵この酒場か武器屋に居るから、そっちの都合に合わせるよ」 「分かった、宜しく頼む」 二人は握手を交わす。 冒険者と剣の稽古が出来るなんて、グランにとっては夢みたいな話だった。
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