錬金術師の卵

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グランは落ち着いてから、ヴェインと名乗った生徒を見た。 灰色の髪におっとりとした表情。 その足元には、黒猫が座っている。 「こっちが、フィロメール」 ヴェインが変わりに、女子生徒の紹介をする。 「フィロメールです! フィロ、って呼んでね♪」 元気が良く、ピンク色のツインテールが良く似合っている。 腰には小さなバックが下げられている。 「お、俺はグラン。宜しく」 未だ心拍数が高いけど、自己紹介はした。 「グラン君……だね。これから宜しくね」 ぎこちない笑みを浮かべて、お辞儀をする。 「ほら、ヴェイン君、次行こうよ!」 フィロがヴェインの手を取って走り出す。 「わ、分かったよ。それじゃ、これで」 ヴェインは腕を引っ張られながら、他の生徒のもとへ走っていく。 「ヴェインにフィロか……」 学園の初めての友達。 グランの顔に、知らず知らずに笑みが零れる。 再び席に着くと、教師が入ってきた。 入学式の説明をしてた、あの金髪の教師だ。
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