錬金術師の卵

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「席に着いてー! これからこの学園のシステムを説明するよ! と、その前に自己紹介かな」 なんだか適当な教師だが、みんなは静かに教師を見ている。 「僕の名前はゼップル。このクラスの担任だ、宜しく」 笑顔で自己紹介した。 そして、いわゆる学園のシステムとやらの説明を始める。 グランは自分の隣の席の生徒を見た。 そこには、一人の女子生徒。 紺色のスラリと伸びたショートカット。 瞳は深い青。 表情というものが無いのか、窓の外を見ている。 「……ねぇ」 グランはその生徒が気になり、声を掛けてみる。 反応してくれた生徒は、ゆっくりグランに向き直った。 「……何?」 冷たい言葉だった。 何の感情もない、普通の声に、グランは寒気を感じた。 「お……俺、グランって言うんだ。その……」 自分で段取りというものを作っていたが、そんなものは一気に吹き飛び、いきなり自分の名前を名乗ってしまった。 女子生徒はグランが何を言いたいのか理解したのか、一度ため息をつく。
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