鏡のような2人

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「は~るがきぃ~たぁ~、は~るがきぃ~たぁ~、ど~こ~に~きたぁ~…っと♪春になると暖かくていいけど、変な奴らも多くなって困るよなぁ。」 「そうですよね~。あ、そういえばもうすぐゴールデンウィークですけど、亮先輩は何か予定あるんですか?」 「そうだなぁ、彼女とディズニーランドにでも……」 「えっ!?先輩彼女いたんですか!?」 「いたら行きたいなぁと思ってるだけだよ。」 うららかなある春の夜、亮とカズが並木道を他愛のない話をしながら歩いていた。すると少し離れたところから男の悲鳴ともとれる声が聞こえ、2人は顔を見合わせると声のした方へ走り出した。2人がガードレールの下まで来ると、男が腕を押さえてうずくまり、女が走り去ろうとしていた。 「カズ、行け!」 「了解っ!」 亮は男の元へ駆け寄り、カズは女を追いかけた。 「おい、待て!」 カズが追いかけながら叫ぶと、逃げていた女はピタリと止まった。 「お、聞き分けがいいやん?そのまま動くなよ~?」 そう言って女に近づくと、女はスッと上着をとり、タンクトップ姿の白い肩が見えた。 「お、おい、何のマネだよ?そんなことしたって無駄やぞっ?」 カズがドギマギしながらそう言い女の腕を掴もうとした瞬間、女はカズの方へ振り向くとにこっと笑顔を見せた。 「ご苦労さんっ!」 女はそう言ったかと思うと、カズの腹部に膝蹴りを入れていた。 『ゲホッ……』 カズは不意をつかれたその強烈な膝蹴りに思わずうずくまってしまい、女は笑みを浮かべると 「アホな奴。そこでごゆっくり~♪」 と言って走り去っていった。 次の日、カズは早速モンタージュ作りに駆り出された。そしてモンタージュが出来上がると、亮が驚いた顔をしてそのモンタージュを見た。 「この女、きっと関西の人間ですよ。関西弁喋ってましたから。」 カズがモンタージュを睨みながら言う。 「冗談だろ……?」 亮はそう呟くと、モンタージュを片手に刑事部屋へ走り戻った。 「本城さん!本城さん!ちょっとコレ見てくださいよ!」 「藤村、静かに入ってこんか!」 「タケさん、それどころじゃないですよ!それよりこのモンタージュ!」 亮がモンタージュを机に置くと、みんながそのモンタージュを覗きこんだ。 「これは……。」 モンタージュを覗きこんだ誰もが驚きの表情を見せる。そんな中、カズがブツクサ言いながら戻ってきた。
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