鏡のような2人

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「君の方が子供っぽい。」 カズの言葉に美知流はむくれた。 「ど~せウチは子供ですよ。最初に言うたん取り消す!親しみなんかぜ~ったいわかへん!」 「別にわいてくれなくて結構ですぅ。」 「なっ…、かっわいくなーい!そんなんやったら彼女出来ひんのんちゃいますぅ?」 「俺はかわいくなくても、かっこいいからいいんです。君はその性格直さないと彼氏出来ひんのちゃうか?」 「大きなお世話です!」 「や~い、ガキ。」 「う~~~っ!」 カズと美知流が喧嘩しているのを見、本城が仲裁に入る。 「美知流、喧嘩するんじゃないよ~。」 「だってぇ…。」 「美知流はいい子だって。コイツ、まだ美知流と会ったばかりで美知流の良さが解ってないんだよ。許してやってよ。」 「…本城さんがそう言うなら……。」 「美知流ちゃん、許してくれるって。ほらカズ、謝っとけ。」 タクが言う。 「ちょ!ちょっと~、なんで俺が謝んなきゃいけないんですか。いじめられたの、俺の方ですよ?」 「なによ!カズさんが色気ないとか言うから悪いんでしょー!いじめられたのウチの方やん!」 「そんなこと言うてないやろ?ちょっと“子供っぽい”って言うただけやん。」 「それが悪いって言ってんですっ。ウチのデリケートな心はキズだらけやわ。」 「“バリケード”の間違いちゃうん?」 「ひ、ひど~い!そこまで言う?本城さぁん、カズさんがいじめる~。え~ん。」 美知流が本城に顔を埋めて泣き真似をし、それを見た亮やミノル達がカズを責めた。 「あ~あ、泣いちゃった。」 「謝れよ、カズ。」 「そうだ、そうだ。謝れ。」 みんなに責められたカズは、しどろもどろになった。 「泣きたいのはこっちですよ。なんで俺が……。」 「カ~ズ~。」 みんながカズを睨む。 「あ~もうっ、わかりましたよ。……言い過ぎました。すいません。」 カズは仕方ないといった感じで腹を決めるとそう言って頭を下げ、美知流は本城にチロッと舌を出してウインクした。 「カズ!今度美知流をいじめたら、俺が許さないからな?」 「「許さないからな?」」 本城が言うと、亮とミノルも声を揃えた。 「わかりましたよ。」 カズは不機嫌そうに答え、武田と宮本は呆れ顔で見合った。 「……でも、この人誰なんやろ?迷惑やな~。早く捕まえてくださいね?」 「任せときな。俺達が必ず捕まえてやるから。」
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