プロローグ

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「所長、明日一日ゆっくり休まれてはいかがですか?」 先ほど、『別れさせ屋依頼』を一つ、ほぼ終わらせたところだった。 澄川レーヨンの専務である楠山浩(くすやまひろし)を、不倫相手である五十嵐麗子(いがらしれいこ)と別れさせる依頼。 依頼主はもちろん楠山の妻で、私は墨田樹里亜(すみたじゅりあ)として楠山に接触し、焦らしたデートを重ねた。 先ほど、楠山から麗子と別れたという電話をもらった所である。 後は裏付けだけだ。 そして本日の任務の完了を、事務所にいる一葉に連絡した矢先である。 「私や仁、富永くんは休みをもらっているのに、所長は『ゼブラエージェンシー』創設以来、一度も休まれていないじゃないですか?」 一葉の熱弁が携帯を伝わってくる。
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