プロローグ

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この愛すべき所員が、私を慕ってくれているのはよく知っている。 私を目標としている事も。 でも、彼女には私の進んだ道を踏ませられない。 まだ普通の女の子なんだから。 「って聞いてますか?」 一葉の少し怒ったような口調で私は我に返った。 「でも事務所を通らないと、出かける事もできないしね」 『調査研究所 ゼブラエージェンシー』の事務所は立野のビルの八階にある。 しかも、事務所の奥が私の住居なのだ。 実際、プライベートはほとんどない。 「とにかく、事務処理は私や富永くんでやりますから、所長は何も気にせず休んで下さい!」 ムキになって怒鳴ってから一葉は電話を切った。
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