プロローグ

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たまにこの娘は私に説教する。 もっと野菜を食べろとか、醤油をかけすぎだとか。 味覚障害を持つ私が、食事を楽しめるわけないのに。 思いやり……なのだろうけど。 腕時計を見ると、夜の9時。 私にとってはまだ宵の口だ。 それでも、車で長坂駅まで来ていたので、好きなアルコールは楽しめない。 だいたい、いきなり休みだと言われても何をしていいかわからないし。 結局いつものように車で帰り、隣ビルの大衆酒場で食事をするしかないようだ。 明日の朝食を買ってから帰ろうと、私はコンビニに真紅のフェアレディΖを走らせた。 車の運転……と言うより、スポーツカーの運転は好きだ。 自分の思い通りに操った時の一体感。
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