プロローグ

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これは私が仕事と空手以外に、好きな事の一つと言える。 明日は実家に寄ってから、少しドライブでもしようか。 この時間帯のコンビニは、それなりに人で賑わっている。 仕事帰りのネクタイを外したサラリーマン。 予備校帰りの受験生。 部活帰りの女子高生。 出勤前のホスト。 レジを済ませて愛車に戻り、シートベルトをした瞬間だった。 助手席のドアが開き、辛子色のシャツを着た男が体を滑り込ませてきた。 右手には拳銃が握られており、銃口は低い位置から私の胸に押し付けられた。 刃物のように目付きが鋭い。 間違いなく筋者だ。 「妙な真似すんじゃねぇぞ。この距離だ。外さねぇ。第二埠頭まで走らせろ」 角刈りの男が低い声を震わせながら言った。
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