245人が本棚に入れています
本棚に追加
背筋が凍りつく。
逃げ場のない車内で、いきなり拳銃を突き付けられたのだ。
思考がまだ追い付かない。
……このままだと殺される。
男からは静かな殺気が漂っていた。
乳房の下に押し付けられた鉄の固まりが、無機質な痛みを与える。
備えが出来ていなかった私に、反撃できる要素は皆無だった。
……心当たりはある。
平松組を壊滅させたとはいえ、全員が足を洗ったわけではない。
むしろ、足を洗った人間の方が少ないはずだ。
どうしたらいい?
とりあえず、シフトノブをローに入れて車をスタートさせた。
フェアレディΖは後輪を滑らせて、駐車場から道路に躍り出る。
とんだ休日を予測させる出来事だった。
最初のコメントを投稿しよう!