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○宿屋・ビサイドの部屋(朝)
ベッドで目を覚ますビサイド……寝ぼけ眼のまま、ベッドから降りる。
けだるい顔のビサイド、テーブルの上の飲みかけのワインを飲み干す。
ノックの音。
店主の声「お客様がお見えですが、こちらにお通ししてよろしいでしょうか?」
ビサイド「どうぞ」
ドアが開き、ジョーカー(33)が入ってくる。
ジョーカー「おはようございます」
ビサイド「……」
不機嫌そうな顔でジョーカーを一瞥するビサイド、対面に座れとテーブルを軽く叩く。
ゆっくりとビサイドの対面に座るジョーカー。
ビサイド「どうして私の居場所が分かる」
ジョーカー「情報通ですから」
微笑するジョーカー。
ジョーカー「どうですか? サモンセグメントの集まり具合は?」
ビサイド「まだふたつ……」
ジョーカー「まぁ、焦らずやりましょう」
ビサイド「しかし、あんなもので本当に魔神を召喚させることができるのか?」
ジョーカー「確証はありませんが、可能性はあります」
ビサイド「その不確かな可能性に時間を費やす価値があるのか?」
ジョーカー「なら、やめますか?」
ビサイド「……」
ジョーカー「あなたですよ……この国を滅ぼしたいとおっしゃったのは」
ビサイド「まぁ、いい……利用できるものは利用させてもらう」
ジョーカー「……」
失笑するジョーカー。
ビサイド「可笑しいか?」
ジョーカー「あ、いえ……」
口をつぐむジョーカー。
ビサイド「……用はそれだけか?」
ジョーカー「まさか……セグメントの情報をつかんだので報告にきたんですよ」
ビサイド「……」
ジョーカー「キャスタの村に行ってみてください」
ビサイド「キャスタの村……ちょうど行こうと思っていた……葡萄酒が旨いと評判だからな」
ジョーカー「酒はほどほどにしたほうがよろしいんじゃありませんか……また呪文が失敗して、とんでもないことに……」
ビサイド「……」
× × ×
―フラッシュ。
黒い竜に噛み殺されるビサイド。
× × ×
ビサイド「……分かっている」
憮然とするビサイド。
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