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「有想、此方は友人の能だ」
有人が俺を差し、紹介をする。
「安 能【アンヌン】だ。よろしく」
「王 有想【ワンヨウシアン】です。此方こそ」
有想が可憐に微笑み、有人は俺を席に案内した。
「さぁ、話をしようか」
タイミング良く、小人が料理と酒を運んで来る。
酒を注ぐのは有想の役目らしく、二人分の猪口に注いでいた。
「乾杯」
「乾杯」
一杯目は二人一気に飲み干す。
「時に能、猫は元気か?」
有人が料理を小皿に分け乍、俺の方を見た。
「記憶に問題有るみたいだけど、特には問題無いし、まぁ元気だな」
そう答えれば、有人は安心したように息を吐いた。
「良かった。一時はどう成る事かと。一条が余り手を出していなかったのが、不幸中の幸いだったか……」
俺は料理を口に運び、有想の酌を待ち、酒を呑む。
「……俺より一条の記憶が強かったのには、多少苛っとは来たがな」
そう言ってやれば、有人が驚いた表情をした。
「それはどういう?」
「あいつに電話をした時、始めにあいつは俺に対して誰?と言った。けど、王の長兄と言った時、一条様と言った」
有人は箸を起き、黙って話を聞いていた。
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