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「アナタが自分から死ねと言ったとうのに、何故実行してはいけない?」
オレが静かに問掛けると、電話越しに沈黙が続く。長い、長い沈黙が……。
「あんさぁ、お前やっぱばかだろ?」
相手は、はぁ……と深い溜め息を吐き乍、オレに悪態をつく。
「アナタは天才なのか?」
オレの疑問をぶつければ、相手が怒鳴り散らす。
「一々癇に触る野郎だなぁ、猫の分際で!!」
言ってる意味が、あまり理解出来なかったが、猫の分際、とはオレは相手に反抗出来る立場では無いのか?と考えてみるも、答えは見付からず、相手のヒートアップした叫びが耳を抜けた。
「で、アナタ、オレに何か用が有って電話したのでは無いのか?」
冷静に問掛ければ、相手は大分落ち着いたようで、咳払い一つし、言い難そうに躊躇いがちに口を開いた。
「お前、英【イン】の蘇【スウ】様に狙われてるぜ?」
聞き慣れない名前に、思考を巡らす。
「不【ブウ】。そんな人は知らない」
そう言うと、相手は苦笑し、煙草か何かを口にした。
「まぁ、確かに今のお前は知らないかも知れねぇが、数日前までのお前は知ってる筈だ」
相手の深くて、意味の分かり難い言葉に、口を閉じた。
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