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「蘇は自分の玩具【オモチャ】に成るペットが欲しいんだ。其れも言いなりに、命令を従順にきく、傀儡がね」
能が皮肉っぽく言い、オレは開け放った窓から吹く、新鮮で汚い空気を堪能する。
「なんだ、一条様と同じじゃないか。結局は支配出来る存在が欲しいのだろう?」
記憶が少しずつ、少しずつ海馬に浸透して行く。
「まぁ、そんなところだな。所詮は金持ち。考える事は庶民とは違うと言う事だ」
「対【ドエ】。確かにアナタの言う通りだ」
オレは窓辺に寄りかかり、天井を見つめる。暗い部屋には洒落た家具と、埃臭さのアンバランスな組み合わせ。
「猫、頼むから蘇にだけは捕まるなよ……?」
能の悲痛な声に、オレは瞳を伏せた。
「嗚呼」
一言、其れだけ言い、電話を切った。其れからの記憶は、全く無い。
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